脂質異常症
脂質異常症
脂質は、糖質・タンパク質と並んで身体に欠かせない三大栄養素の1つであり、糖質やタンパク質が1g当たり4kcalであるのに対して、脂質は倍以上の9kcalもあります。脂質は、皮下脂肪として内臓を衝撃から守る働き、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンの吸収をサポートする働きがあります。脂質は体内でLDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)と分類され、それらのバランスを正常に保つことが重要です。
血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満です。この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、脂質異常症です。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。特に、お腹の中に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。また、遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」というものもあります。このタイプは、通常の脂質異常症に比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいとされています。
親や祖父母、兄弟など血のつながった親族に脂質異常症や、男性で55歳未満または女性で65歳未満で心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高くなります。さらに、特定の疾患により脂質異常症が症状として現れる疾患もあり、それを二次性脂質異常症と呼びます。二次性脂質異常症の代表的な病気は以下になります。
血清脂質値が異常でも、通常、症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに、全身の血管が傷めつけられます。その影響は主に、動脈硬化となって現れます。動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなります。そして、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、QOL(生活の質)が低下したり、ときには命も左右されかねません。脂質異常症と指摘されたら、心臓や脳の発作を起こさないため、血清脂質値(とくに悪玉のLDL-コレステロール)に、いつも気をつけておく必要があります。
脂質異常症を疑われた場合、あるいは健康診断などで上表の診断基準であった場合、まずはクリニックを受診してください。