帯状疱疹を予防しよう!
- 2022年6月4日
- 予防接種
帯状疱疹を予防しましょう!
このブログをご覧いただきありがとうございます。
はたなかクリニック院長の畑中雅喜です。
帯状疱疹、いやですよね。
帯状疱疹は体の左右どちらかに水ぶくれを伴う赤い発疹が出現し、非常に強い痛みを伴う病気です。肋骨のあたりに生じることが多いです。
この症状が3週間前後続くこと自体が非常につらく、場合によっては入院も必要になることもありますが、一旦治ったと思ってもその後ピリピリした痛み(帯状疱疹後神経痛)が長期に、場合によっては数年続くこともあります。
今回はこの帯状疱疹を予防するワクチンについてお話します。
今回の内容
・帯状疱疹とは
・帯状疱疹ワクチンの種類とその違い
・結局、どっちをうったらいいの?
帯状疱疹とは
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる病気です。子供の頃にこのウイルスによってみずぼうそうにかかった後、このウイルスは体の中の神経の中に潜んでいます。それが年齢を重ねたり、あるいは病気などで体の免疫力が弱ると再び暴れ始め、帯状疱疹として出現します。
帯状疱疹は50歳から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。
日本人の90%以上は帯状疱疹の原因となるウイルスが体内に潜伏しており、過労やストレス、あるいは病気やその治療によって免疫力が弱ると帯状疱疹を発症します。
一度発症すると、当然痛いですし、場合によっては入院も必要となることがあります。それだけでもつらいので抗ウイルス薬などを用いて治療を行うのですが、治療後にも3か月以上痛みが続くことがあり、帯状疱疹後神経痛といいます。「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」と表現され、数年にわたって痛みが良くならないこともあります。この帯状疱疹後神経痛が約2割の人に発症することを考えると、予防した方がいいということになります。
予防の方法として、帯状疱疹ワクチンがあります。
帯状疱疹ワクチンの種類とその違い
現在使用できるワクチンは2種類あり、弱毒水痘生ワクチンとシングリックスがあります。
2つのワクチンの違いは、以下のようになります。
・ワクチンの種類:弱毒生ワクチンはその名の通り生ワクチン。シングリックスは不活化ワクチン。
・発症予防効果:弱毒生ワクチンが約50%、シングリックスが約95%。
・神経痛予防効果:弱毒生ワクチンが60~70%、シングリックスが約90%。
・長期予防効果:弱毒生ワクチンが8年~10年で効果が消失するのに対し、シングリックスは8年で80%以上効果が持続します。
・副反応:どちらも局所反応(痛み)、発熱などありますが、弱毒生ワクチンでは1~3%に水痘様発疹が、シングリックスでは40%に筋肉痛が出現する可能性があります。
・接種できない人:弱毒生ワクチンは妊娠中や免疫抑制薬を投与されている人、他の生ワクチンを27日以内に接種した人、明らかな発熱や急性疾患にかかっている人。シングリックスは明らかな発熱や急性疾患にかかっている人やアナフィラキシーの既往のある人です。
・接種対象者:いずれのワクチンも50歳以上となっています。
・費用:弱毒生ワクチンが8000円(税抜き)1回に対し、シングリックスは22000円(税抜き)が2回で計44000円(税抜き)となります。
おおざっぱに違いを言うと、弱毒生ワクチンの方が安いが効果が低く長続きしない。シングリックスの方が高価で副反応も多いがその効果は高く長続きする、ということになります。
シングリックスの副反応は弱毒生ワクチンと比較すると多いのですが、多くは3日以内によくなるとされています。
補足としては、弱毒生ワクチンは1回の予防接種ですむのですが、シングリックスは初回と、その2ヶ月後の2回の予防接種が必要となります。
結局、どっちをうったらいいの?
一度帯状疱疹にかかってしまった後のつらい症状に悩まされている人を診てきた経験からは、当クリニックとしてはシングリックスをおすすめしますが、費用の問題もありますので、どちらかを選択していただければと思います。
いかがでしたでしょうか。
どちらを打つか悩ましいところだとは思いますが、私はどちらを打つかと聞かれれば、間違いなくシングリックスを選びます。
帯状疱疹になることもイヤだし、その後の帯状疱疹後神経痛になるのもイヤなので、その予防効果の高さが魅力です。確かに費用は高いのですが、もし帯状疱疹になった時の医療費を考えると、じゅうぶん元は取れるんじゃないかなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2022/06/04 畑中雅喜(総合内科専門医)
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