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尿に血が混じっている?~尿潜血~

こんにちは、このブログをご覧いただきありがとうございます。

はたなかクリニック院長の畑中雅喜です。

今回は検尿異常の中でも尿潜血を取り上げます。

 

尿潜血とは

何も病気がない人でも尿中にわずかな赤血球が混入しますが、「血尿診断ガイドライン2013」では血尿の定義を

 尿中赤血球数20個/μL以上、尿沈渣5個/HPF(High Power Field)以上

としています。

 

尿1μLの中に赤血球が20個以上または、尿を顕微鏡の強拡大(400倍)で観察した時に、1つの視野の中に赤血球が5個以上ある、ということです。

目で見て明らかに赤褐色あるいは黒褐色で濁っている場合を肉眼的血尿といい、尿1Lに1mlの血液が混じると肉眼的血尿として認識されます。血尿をみた時はビックリすることが多いと思いますが、実際には混じっている血液はごく少量であることが多いです。

 

血尿の中でも肉眼的血尿ほど赤血球が混じっていないものを顕微鏡的血尿、あるいは尿潜血と言います。

 

一般には尿試験紙で尿潜血が1+以上となった時に尿潜血があるとされます。

 

尿潜血の原因

尿に血液が混じると尿潜血、その量が多いと肉眼的血尿となります。

 

その原因を考えるには、尿の通り道のうちどこで血液が混じったか、と考えると少しわかりやすくなります。

尿は腎臓で血液から作られ、尿管を通り、膀胱にたまり、尿道を通って排出されます。

そのどこかで血液が混じれば尿潜血あるいは肉眼的血尿となります。

 

腎臓から血液が出ている場合は、慢性糸球体腎炎や急性糸球体腎炎、慢性腎臓病、腎結石などがあります。

尿管から血液が出ている場合は、尿管結石や尿管癌などの悪性腫瘍、外傷などがあります。

膀胱から血液が出ている場合は、膀胱結石や膀胱癌などの悪性腫瘍、外傷、膀胱炎などがあります。

尿道から血液が出ている場合は比較的まれで、尿道癌、尿道狭窄、外傷などがあります。

 

また、それ以外として運動に伴うものや、外陰部あるいは肛門からの出血がまじったり、生理中であればその血液が混じることもあります。ストレスで血尿が出るかどうかは定かではありません。

これらの原因の中で頻度が高く、重要な疾患について簡単に説明します。

 

慢性糸球体腎炎や急性糸球体腎炎、慢性腎臓病などの腎疾患

腎臓になんらかの異常が生じ、尿潜血や尿蛋白が出る状態を糸球体腎炎と言います。糸球体とは、腎臓の中にある組織の名前で、血液から尿を作っている場所です。0.1~0.2mmほどの大きさの糸球体が1つの腎臓に約100万個あるとされています。

 

自覚症状をほとんど伴わずに尿検査をすると異常がある状態が続く状態のことを慢性糸球体腎炎といい、それに対し、浮腫(むくみ)や血圧上昇、尿量減少などの症状を伴い急に発症するものを急性糸球体腎炎と言います。また、検尿異常や腎機能低下が持続する状態を慢性腎臓病といい、その原因にもよりますが、尿潜血を伴うことがあります。

 

慢性糸球体腎炎や慢性腎臓病における尿潜血の場合、自覚症状を伴わないことがほとんどですが、それでは放置してもよいかというとそうではありません。

 

尿潜血だけの場合、すぐにどうこうなるわけではありませんが、10年以上という長い目で見た時、尿潜血がない人に比べると尿潜血がある人は腎機能が低下する可能性があるとされています。特に尿蛋白を伴う場合は注意が必要で、将来的に腎機能が低下する可能性が高くなりますので、腎臓内科での精密検査を受ける必要があります。少なくとも定期的に検査を受けることが最低限必要で、放置することはおすすめしません。

 

尿路結石

腎臓、尿管、膀胱のどこかに結石がある場合、血尿が出ることがあります。

石の場所によって痛みが生じない場合もあり、尿潜血の原因を調べて尿路結石と診断されることもあります。

症状がある場合(ひどい場合は救急車を要請するほどの傷みが生じます)はもちろん、症状がない場合も、放置することで尿の通りが悪くなり腎機能が低下したり、感染を起こしたりすることがあるので泌尿器科を受診する必要があります。薬以外の方法としては、たくさんの水を飲む(2000ml以上)ことがあります。

 

膀胱炎

おしっこの濁りや、おしっこをする時の痛み、尿の回数が多い、残尿感がある、などの症状がある場合、膀胱炎が疑われます。なんらかの菌(多くの場合、大腸菌)が関与することが多く、1週間以内の抗菌薬内服で改善することが多いです。ただし、もともと何からの病気がある方や、それに対する治療薬を使っている場合、その内容によっては簡単には治らない場合もあります。泌尿器科や内科で治療できます。

 

尿管癌、膀胱癌など

腎臓や尿管、膀胱に癌があると、血尿が出る場合があります。

これらの癌をまとめて尿路上皮癌と言いますが、男性ではすべての癌のうちの約10%、女性では約3%をしめています。

45歳を超えると尿路上皮癌が発生する確率が上昇するので、この年齢で血尿を認めた場合には、尿路上皮癌がないかのチェックも必要です。たばこを吸っている方も尿路上皮癌のリスクが上がることがわかっているので注意が必要です。

 

まとめ

・血尿には尿潜血と肉眼的血尿がある。

・主な原因としては腎疾患、膀胱炎、尿路結石、尿路上皮癌などがある。

・症状がなくても原因を調べて対処することが必要。

 

いかがでしたでしょうか。

検査で指摘されるだけの尿潜血も意外とあなどれないですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2021/6/27 畑中雅喜