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ブログ

脂質異常症(高脂血症)

このブログをご覧いただきありがとうございます。

はたなかクリニック院長の畑中雅喜です。

 

今回は脂質異常症(高脂血症)のお話です。

「コレステロールが高いですよ」っていうセリフをどこかで聞いたことありませんか?

そう、それが脂質異常症(高脂血症)です。

 

今回の話の内容

・脂質異常症(高脂血症)とは

・脂質異常症(高脂血症)の症状

・なぜ脂質異常症(高脂血症)の治療が必要か

・脂質異常症(高脂血症)の治療方法

 

 

脂質異常症(高脂血症)とは

脂質異常症とは、血液中の脂質が基準範囲からはずれている状態のことを言います。

血液中の脂質のうち、診断基準に使われているものは、以下の4つです。

 LDLコレステロール(いわゆる悪玉)

 中性脂肪

 HDLコレステロール(いわゆる善玉)

 non-HDLコレステロール(=総コレステロールーHDLコレステロール)

 

以前は「高脂血症」と言われていましたが、上記の4つのうちHDLコレステロールは低いことが問題となるため必ずしも「高」脂血症ではないことから脂質異常症という名称になっています。

ここでは、わかりやすいように脂質異常症(高脂血症)と記載しています。

 

脂質異常症(高脂血症)の症状

結論から言うと、脂質異常症(高脂血症)に症状はありません。

LDLコレステロールが高かろうが、中性脂肪が高かろうが、HDLコレステロールが低かろうが、そのこと自体では症状はありません。

 

例えば中性脂肪が非常に高値であれば、急性膵炎になりやすかったりしますが、中性脂肪が高いことによって「お腹が痛い」とか、「気分が悪くなる」といったことは生じない、ということです。

 

なぜ脂質異常症(高脂血症)の治療が必要か

ではなぜ脂質異常症(高脂血症)の治療が必要かというお話をします。

 

 

それは、動脈硬化性疾患の予防につながるからです。これにつきます。

動脈硬化性疾患とは、動脈硬化によって引き起こされる疾患の総称です。具体的には心筋梗塞や脳卒中、動脈瘤や足の血管が細く

なったりつまってしまう末梢動脈疾患などがあります。

 

今回お話している脂質異常症(高脂血症)や、加齢、高血圧、糖尿病、高尿酸血症、喫煙、肥満、慢性腎臓病などでも動脈硬化が生じます。

心臓から全身に血液を送る血管である動脈の壁には内側から順に内膜、中膜、外膜という3つの膜があり、心臓の収縮による高い圧力にも耐えられるようになっています。その内膜の内側に余分なコレステロールがたまったり、変性したコレステロールがたまってしまうのが動脈硬化であり、そのたまった部分のことをプラークといいます。

この動脈硬化が起こると、血管がしなやかに動くことができなくなり心臓や脳などの臓器に適切に血液を運べなくなったり、血管内膜にたまったプラークによって血管が狭くなってしまい血液の流れが悪くなることで心筋梗塞や脳卒中、動脈瘤、末梢動脈疾患のような動脈硬化性疾患が生じてしまいます。

 

この動脈硬化性疾患は重篤な疾患が多く、一度発症してしまうと適切に治療を行ったとしても何かしらの後遺症が残ることもありますので、発症しないように予防することが重要となります。

 

以上のことから、動脈硬化性疾患の予防のために脂質異常症(高脂血症)の治療が必要、ということになります。

 

脂質異常症(高脂血症)の治療方法

脂質異常症(高脂血症)の治療は、他の生活習慣病である高血圧や糖尿病などと同じく、食事や運動といった生活習慣の改善と、薬になります。

 

食事

 

コレステロールが高い患者さんに、「脂ものを控えればいいんですかね?」とよく聞かれます。

 

たしかに、コレステロールを1日200mg以下におさえることでLDLコレステロールが低下することが期待できるとされています。しかし、卵1つでも200mgを超えてしまうことを考えると、なかなか現実的ではありません。

 

さらに、体内のコレステロールは食事から摂取されたものよりはむしろ、体内で自分で合成しているものの方が多く、食事だけを気をつければいいというものでもありません。そのような背景から、厚生労働省から出されている「日本人の食事摂取基準」ではコレステロールの上限値はありません。だからといって無制限に食べていいというわけでもありません。食べ過ぎに気をつけることと、質を気をつける必要があると思います。

 

LDLコレステロール上昇の原因となる飽和脂肪酸(乳製品、肉などの動物性脂肪、パーム油などの植物油脂)やトランス脂肪酸(マーガリンやビスケットなどの脂質の多い菓子類や食品)を減らし、一価不飽和脂肪酸(動物性脂肪やオリーブ油などの植物油に多いが、体内で飽和脂肪酸から合成することができる)、n-6系脂肪酸(リノール酸。大豆油やコーン油などの植物油で体内で合成できない必須脂肪酸)、n-3系脂肪酸(αリノレン酸やEPA、DHA。植物油や魚介類で体内で合成できない必須脂肪酸)を増やすとよいとされています。

 

ここまで食事野中でも脂質について説明しましたが、そもそも摂取する総エネルギーが多すぎては元も子もありません。食べ過ぎに注意して適正な体重を維持することによって脂質異常症(高脂血症)の改善が期待できます。

 

運動

有酸素運動(速歩やスロージョギングなど)によってHDLコレステロールが上昇するとされています。1日合計30分以上の運動を週に3回以上行うことを目指しましょう。

高齢の方で筋肉量がおちていれば軽い筋トレを組み合わせるとさらに効果が出ます。

 

 

脂質異常症(高脂血症)の診断基準とは別に、コレステロールの管理基準というものが設けられており、生活習慣の改善だけでは到達困難な時には薬を用います。

 

スタチンや小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂、プロブコール、フィブラート、多価不飽和脂肪酸、ニコチン酸誘導体など様々なものがあり、コレステロールの上昇のパターンによって使い分けます。その詳細については今回は省略いたします。

 

まとめ

コレステロールが基準範囲からはずれている状態を脂質異常症(高脂血症)という。

脂質異常症(高脂血症)には症状はないが、動脈硬化性疾患の原因となる。

動脈硬化性疾患の予防のために、生活習慣や薬によって脂質異常症(高脂血症)の治療を行う。

 

いかがでしたでしょうか。

 

かくいう私もLDLコレステロールが高いと指摘されます。

結構若い時からなので体質によるものもあるとは思いますが、お菓子が好きなのも良くないことはよーくわかっています。

わかっていますが、やめれないんですよね。

でも控えるようにはがんばっています。コレステロールが高いと言われている皆さんも一緒に取り組みましょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2021/11/13 畑中雅喜(総合内科専門医)