腎臓内科って?どんな時にかかるの?
- 2021年5月21日
- 腎臓内科
こんにちは、このブログをご覧いただきありがとうございます。
はたなかクリニック院長の畑中雅喜です。
私は総合内科専門医であると同時に腎臓専門医でもあります。
内科全般に関しての診療を行っていますが、その中でも「腎臓内科」を専門にしています。
でも、消化器科や循環器科、糖尿病内科などは馴染みがある方でも、そもそも腎臓内科って何?という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は腎臓内科についてお話します。
腎臓内科で扱う疾患
腎臓内科で扱う疾患とは、もちろん腎臓が関与する疾患です。
腎臓というのはみなさんもご存じと通り、尿を作っている臓器です。
ですので、腎臓そのものに異常が起こる疾患として、
・腎臓の機能が低下する:慢性腎臓病や急性腎障害など
・検尿異常が出現する:糸球体腎炎やネフローゼ症候群など
・尿の量の異常:脱水症や尿崩症など
・腎臓の形態異常:多発性のう胞腎など
などが挙げられます。
また、腎臓というのは尿を作るだけではなく、体全体のバランス(恒常性)を保つために様々な機能をもった臓器です。そのため、腎臓になんらかの異常が生じることで、その結果として起こる疾患として、
・電解質異常:ナトリウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルの異常
・高血圧
・高尿酸血症
・貧血
・骨の異常
・動脈硬化
などが挙げられます。
さらに、腎臓は体全体の影響を受けやすい臓器でもあり、
・高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)や高尿酸血症などの生活習慣病
・心臓疾患
・肝疾患
・血液疾患(多発性骨髄腫など)
・膠原病(関節リウマチなど)
・感染症
などが関与しますので、これらに関しても専門家ほどではありませんが、一定以上の知識を要します。
腎臓内科と泌尿器科の違いって?
よく混同されるのですが、腎臓内科と泌尿器科って結局どのように違うのでしょうか。
おおざっぱに言うと、
腎臓内科・・・内科
泌尿器科・・・外科
という分け方ができます。
泌尿器科では腎癌や膀胱癌、前立腺癌、前立腺肥大症などに対する手術を行います。もちろん手術だけではなく、投薬での治療も行いますので完全に「外科」と言ってしまうと語弊があるとは思います。
もう一つの分け方としては、
腎臓内科・・・腎臓
泌尿器科・・・腎臓から尿が流れる経路である尿管、膀胱、尿道
に関わる疾患を扱う、という分け方もできます。
さきほどの癌や前立腺肥大症もそうですが、その他にも尿路結石や頻尿、性腺機能障害なども泌尿器科で扱う疾患です。
ただ、腎臓内科と泌尿器科は完全に別々の科というわけではなく、例えば頻尿ひとつとっても、前立腺肥大症のような泌尿器科が得意とする疾患が原因であったり、糖尿病や高カルシウム血症、塩分摂取過多のような腎臓内科が得意とするような疾患が原因であったりします。他にも血尿が出たので泌尿器科を受診していろいろ調べた結果、実は慢性糸球体腎炎のような腎臓内科が扱う疾患だった、というようなこともよく経験します。そのため、最終的には患者さんにとって最適な診療ができるようにお互い協力しあっているのが実際です。
どんな症状の時に腎臓内科にかかるのか、どんな検査をするのか
お腹が痛くなったら消化器科、胸がドキドキしたら循環器科、息が苦しくなったら呼吸器科・・・など、症状にあわせてそれを診てくれそうな科を受診すると思います。
では、どんな症状の時に、
「よし、腎臓内科を受診しよう」
となるのでしょうか。
これまで総合病院で腎臓内科専門医として勤務してきた経験上、患者さんご自身が、自分の症状から「腎臓内科を受診しに来ました」と来られるケースはほとんどありません。
たまに「足がむくんで」とか、「血尿で」などで受診されるくらいです。
腎臓内科を受診される方は、ほとんどが「他の病院で腎臓が悪くなっているから専門医を受診しましょう」と言われたり、検診でたまたま尿潜血や尿蛋白が見つかり、「専門医を受診するように」指摘されたりした場合です。
腎臓の疾患は自覚症状に乏しいんです。
血液検査は尿検査などをきっかけにすることが多いです。
そして、受診された患者さんに行う検査は、さらに細かい血液検査や尿検査、超音波検査やCT検査などを行います。腎生検といって、腎臓に針を刺して腎臓のほんの一部を取ってきて、顕微鏡で観察するという検査を行う場合もあります(入院が必要な検査です)。
また、それまでにかかってきた病気や、それまでの検査結果、その時に内服している薬などの情報も重要です。場合によってはどのような日常生活をしているかも細かく伺うこともあります。
これらの情報を元にして、腎臓に何が起こっているかを推測し、治療につなげていくのです。
治療法は?
腎臓疾患の治療法は、腎臓に悪さをしている原因に対する治療を行うことが多いです。具体的には高血圧や糖尿病の治療や、投薬の整理を行う、などです。その一環として、食事指導を含めた生活指導も行います。
腎臓で起こっている炎症を抑えるためにステロイドや免疫抑制剤を使用することもあります。
腎機能が廃絶してしまった場合は、
・血液透析
・腹膜透析
・腎移植
などが必要となります。
前述したように、腎疾患そのものも、また腎臓に影響を与える生活習慣病なども、自覚症状が乏しいことが多いです。そのため、せっかく健診などで指摘されても受診せずに放置して、かなり悪化してから初めて受診する、というようなこともあります。受診はしたものの、治療を継続する必要性を指導されずに受診しなくなってしまう、というようなことも多々あります。
せっかくの機会をのがして、手遅れになるほど進行してしまうのは非常にもったいないと思いませんか?
そのようなことがないように、今の時点で腎臓に何がおこっているかをしっかり説明し、治療を行わなかった場合はどのようになっていくか、治療を行うことでどのようなことが期待できるかをできる限り詳しく、わかりやすく説明することを心がけ、治療を続けるモチベーションを保てるように意識しながら診療してきました。
これからも患者さんにわかりやすく丁寧に説明して、必要な治療をしっかり継続することにより患者さんの健康に貢献できるようにしたいと考えています。
いかがでしたでしょうか。
腎臓内科という、あまりなじみのない科について説明してみました。
様々な病名がでてきましたが、それぞれの詳細についてはおって説明したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2021/05/21 畑中雅喜