熱中症2021
- 2021年7月11日
- 季節の話題
こんにちは、このブログをご覧いただきありがとうございます。
はたなかクリニック院長の畑中雅喜です。
今回は熱中症を取り上げます。
暑くなってくると、熱中症が心配になりますよね。
熱中症に気をつけましょう、ということはみなさんご存じだと思います。
それでも毎年熱中症による死者がでてしまいます。
熱中症とは
熱中症とは、体温を平熱に保つために汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の創傷です。死に至る可能性もありますが、予防法を知って、それを実践することで完全に防ぐことができます(熱中症環境保健マニュアル2018より引用)。
熱中症の症状、重症度
熱中症は、その重症度に応じてⅠ度からⅢ度に分類されます。
おおざっぱに言うと、暑い環境にいる時、あるいはいた後に、
・ふらふらする、こむら返りがおこる:Ⅰ度
・気分が悪い、なんだかおかしい:Ⅱ度
・自分ではどうにもならない、はたからみて明らかにおかしい、38度以上の熱がある:Ⅲ度
というようになります。
熱中症はキケン!
熱中症が毎年どれくらい発生しているかを見てみましょう。
下のグラフは5月から9月にかけて救急搬送された熱中症患者さんの数を示したものです。7月と8月をピークに、5月・6月・9月にも一定数の患者さんが搬送されています。2018年は7月だけで54220人もの人が熱中症で救急搬送されています。
そして、そのうち、毎年100人前後の方が熱中症によって5月から9月の間に亡くなっています。
また、熱中症の発生場所を示したのが下のグラフです。
暑い外で熱中症は発生するイメージがありますが、実際は住居内でも起こります。特に高齢者の熱中症は住居内で最も多く発生しています(熱中症環境保健マニュアル2018)。
そのため、コロナ窩となった2020年の熱中症は外出自粛の影響か住居内での熱中症が例年よりも増えました。
住居内で熱中症になりやすい高齢者の熱中症が増え、外で熱中症になりやすい少年が外出自粛のによって熱中症にあまりならなかった、というのが2020年の特徴と思われ、それはまだまだコロナ窩にある2021年も同様ではないかと思われます。
熱中症の対策
熱中症の対策としては、まずは予防が重要です。
そのためには、どういう時に熱中症が起こりやすいか知っておきましょう。
1)環境
高温、多湿、風邪が弱い、輻射源(熱を発生するもの)があるなどの環境では、体から外気への熱放散が減少し、汗の蒸発も不十分となり熱中症が発生しやすくなります。
具体的には、工事現場や運動場、体育館、一般家庭の風呂場、気密性の高いビルやマンションの最上階などです。
環境要因としては、気温だけでは暑さは評価できません。気温、湿度、日射、輻射、風邪の要素を取り入れた指標として暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)があります。環境省熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/)で全国約840地点における暑さ指数(WBGT)の実況値、予測値が提供されています。
2)からだ
高齢者や乳幼児、肥満があったり、からだになんらかの障害がある人や、持病(糖尿病や心臓病、精神疾患など)がある人、低栄養状態の人、脱水状態(下痢、インフルエンザなど)、体調不良(二日酔い、寝不足など)の時などは熱中症になりやすくなります。
3)行動
激しい運動、慣れない運動、長時間の屋外作業、水分補給がしにくい時などに熱中症になりやすくなります。
これらに該当する時は「自分は大丈夫」と過信することなく、熱中症にかかるかもしれない、と認識し、十分な休憩をとったり、頻回の水分補給をとることが重要です。摂取する水分は市販のスポーツ飲料でいいですが、たくさんの汗をかいた時は、塩分濃度がやや高めの経口補水液の利用もいいと思います。
ただし、高血圧や腎臓病、心臓病などで塩分制限を指示されている場合は、通常の熱中症予防としては水やお茶をしっかり摂取することで十分と思われます。ひどく発汗している時は塩分を含むスポーツ飲料などが望ましいですが、少し汗をかいたぐらいであれば、わざわざ塩分補給する必要はありません。
熱中症警戒アラート
熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境になると予想される日の前日17時または当日5時に、都道府県ごとに熱中症警戒アラートが環境省から発表されています。環境省気象庁のホームページ(https://www.wbgt.env.go.jp/)を参照していただくか、メール配信サービス(PC・スマートフォン:https://plus.sugumail.com/usr/env/home、フィーチャーフォン:https://m.sugumail.com/m/env/home)、あるいは環境省のLINE公式(https://lin.ee/mj3KmWD)に友だち追加することで配信されるようです。
熱中症警戒アラートが発表されている時は、外出はできるだけ控え暑さを避ける(室内ではエアコンを使いましょう)、こまめに水分補給をする、高齢者や子ども、持病のある方など熱中症のリスクが高い方へ声かけをするなどの予防行動をとることが推奨されています。
コロナ窩での熱中症対策
コロナ窩ではマスク着用が当たり前になっていますが、マスクを漬けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調節がしづらくなっています。屋外で人と2m以上離れている時はマスクを外す、のどが乾いていなくてもこまめに水分補給をするなどの「熱中症予防」と、エアコン使用中でもこまめに換気をする(エアコンは止めない)などの「新しい生活様式」を両立させましょう。
まとめ
・熱中症は誰でも、どこででも(室内でも)おこりうる。
・暑いところを避ける、こまめに水分補給をするなどの予防が最も重要。
・熱中症対策とコロナ対策の両立が必要
いかがでしたでしょうか。
熱中症をあなどらず、しっかり対策しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2021/7/11 畑中雅喜